異なる者 61章〜面影〜
「で、どうするのリーダー?」
「っていうと……?」
ラムアは手短に、村人から聞き出した話を話した後、銀髪の美しい人にに話しかけた。
「貴方のことよ、ルイザ」
「僕は、そんなものになったつもりはないが…・・・まぁ、ティアは寝てるし、…それに魔術のことだしね」
ここは納屋で、今三人が円になって向かい合い、今後の相談をしている。もちろんティアの頭はラムアの膝の上だ。
「ししょー…あの人たちを助けてあげよ」
ルゥが不安に潤んだ瞳を向ける。
「ルゥ……」
肩まで金の髪をそっと撫でつける。
「そうだラムアちゃんも気分が悪かったり、変な高揚感はない?」
「んー特には。ただ、変に頭が澄んでる。急に言葉がわかるようになったし…」
「何かしら影響はあるって訳だ。ルゥは?」
「ボクは…心臓が、少しドキドキする…だけ…」
何だかいつもより脈が早い気がするし、紫の瞳も潤んでいる気がする。
「二人とも大丈夫だよ。こんなにも急激に、魔力が強まったからね。相応の反応だよ。心配することはない」
安心させるように軽く微笑む。
「さて、方針は決まりだ」
「解決策はあるの?」
ルゥもラムアも、期待に満ちた目を向ける。
「何とも言えないけど、アレが人為的に造られたものならば、ある法則が存在するんだ。今からそれについて話すよ」
二人がこくりと頷くのを見届けてから、ルイザは説明を始めた。
あんな強力な力を持つものがあれば、当然自然のバランスは崩れる。その場合、ソレは存在することができないんだ。
だから、力を分散させる。そうすれば、ソレは存在することができるようになる。
そして一番安定する形は、それらが三つの点で結ばれる時だ。
だから、アレ同様のものが後二つある。
まずはそれを探さなければならない。
事はそれからだ、と。
「とりあえず、彼らに約束をしないとここから出してもらえそうにないね」
「それは私が」
言葉の通じるラムアが名乗り出る。
「否…魔術的な約束の方がいいかもしれない。彼らは魔法的な束縛を知っている。だから僕らもそれに縛りつけられることを要求するだろう」
「ボクたちが…逃げるってこと…?」
「うん、そうだね。まずは信頼を得なくてはダメだ。その点彼らは魔術に、絶対の信用を置いている」
そこでだ、とルイザは二人の顔を引き寄せて耳打ちする。
「そんなの…私に出来る……?」
確信はあった。
彼が彼女を助けてくれるという、確信が―――
「君じゃなければ出来ないんだよ。・・・それに、出来なければ言わないよ」
ルイザの声音は優しく耳に響く。
ルイザの黒い瞳はどこを見ているのだろう?
ラムアの方を向いているはずなのに、ずっと遠いところを見ている気がする。
「そう…ね。私も何かしないとね」
ちらりとティアを見てから決断する。
「私が彼らと契約する」
でないとここから出してもらえそうにないし、それどころか、生け贄としてあの巨木に捧げられてしまいそうである。
どのみち彼らを助けてやるつもりなのだし・・・。
「よかった」
君が引き受けてくれないと、多分あの人の助けは無いから。
そしてあの人の助けがなければ、これはきっと解決出来ない。
「ありがとう」
これは好機に違いないのだ。
あの人に逢う為にも、逃してはならない。
「こんな親切心の塊のようなこと、絶対ティアには内緒だからね」
唇に人指し指を押し当ててくすくす笑う。
「ティアは素直じゃないから…ね?」
心に秘めた本心を隠すようにして言った。
そうして、ルイザはラムアに契約の仕方を教えた。
2006.1.29
*あとがき*
ルイザが見ているのは、いつも兄の背中。
【異なる者】
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