23章 休息 001
「……どうかな?」
ルイザはラムアに身ぐるみを剥がされ、用意された新しい衣装に着替えた。
元々ゆったりした作りなので、サイズはぴったりだ。
「やっばり似合うよ」
ルゥが満足そうに微笑む。
「う、え、そうかな……」
肩から、長い布を掛け流す形の衣装は、長身のルイザによく似合う。
「うん、可愛い」
ルゥはにこにことしている。
「ホント、すごくいいわ」
着替えを手伝ってくれたラムアも賛同する。
「ありがとう」
満更でもなさそうにそう言った。
「あ、そだ」
突然の思いつきに、ラムアは悪戯に微笑んでから、背伸びをしてルイザに耳打ちする。
「お兄ちゃんの趣味じゃないかもしれないけどね」
「な……! 放っておいてよ!」
「なぁに? どしたの?」
ルゥが不思議そうな顔をする。
「な、何でもないよ」
「そうなの?」
「うん、そうそう」
ルイザは、動揺を隠してそう言う。
「でもずるいわ、そんなに似合うなんて」
からかった張本人であるラムアはもうルイザのことはそっちのけで、口を尖らせていた。
そういうラムアも試着させてもらったのだが、サイズが合わず、裾が余っている。
「お嬢ちゃんは、こっちの子供用がええんじゃないか?」
「え?」
「お嬢ちゃんと、そっちの坊ちゃんはこっちにおいで」
そう言って店主は、手招きする。
恐る恐るそちらを向いてみるが、予想通り、そこに掛けられている札には、子供用と書かれていた。
「あ、あたし、子供じゃないわ!!」
ラムアは慌てて否定をするが、店主は構わず続ける。
「ほれ、こっちの桃色のやつは、裾に薔薇の刺繍があって……」
「ちょっと聞いてるの!」
ラムアは憤慨して、ティアに助けを求めようとして後ろを振り返るが、そこにティアの姿は無い。
「ティア……?」
「ああ、黄色の方がいいって? なら、鳥の模様が入ったこっちの」
一向に話を聞かない店主と慌てるラムアの様子がおかしくて、ルイザはくすくす笑う。
「ねぇお兄さん、この子にはこっちの若草色の刺繍の入ったものをくれる?」
「おう、毎度!」
ルイザが選んだのは、子供用の安いビーズ飾りのついた衣装だ。その薄緑色のビーズに光が入って煌めく。
「あと、ルゥには色違いで、菫色のを」
そう言ってルイザはさっさとお代を払ってしまう。
「え、ルイザ?」
ルイザは商品を受け取り、その屋台背を向ける。
「行くよ」
「うん」
ルゥは、ルイザに駆け寄るようにして後ろに続く。
「待ってよ!」
放って行かれそうになったラムアも慌ててそれに続いた。
あとがき
- 2011年07月13日
- 初筆。
みんな仲良しで楽しい。